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Special talk session vol.1「働き方の変革」

『WIRED』日本版編集長 若林 恵
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株式会社Oneteam代表取締役 佐々木 陽
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株式会社Zero-Ten 榎本 二郎

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2016年12月17日(土)、The Companyにて「Special talk session vol.1 “働き方の変革”」を開催いたしました。ゲストは、『WIRED』日本版編集長 若林 恵氏、株式会社Oneteam代表取締役 佐々木 陽氏、株式会社Zero-Ten 榎本 二郎氏。今回のセッションテーマは「働き方の変革」です。単なる空間、オフィスではなく「ワークシェア」を価値に据える「The Company」が目指すプロジェクトには、どんな可能性と価値があるのか、これからの仕事の在り方や多様性から生まれるチームについて、ディスカッションしていただきました。

法人も個人も関係ない。「個」として共存し、大企業に匹敵する集団へ

--なぜ「The Company」を立ち上げようと思ったのですか?

榎本氏: 以前アメリカに住んでいたんですが、3人に1人がフリーランスなんですよ。そして、フリーランスであることが1つのステータスであり、恥じることがない。国内では、フリーランスに対して良いイメージをお持ちの方ってまだ少ないと思います。僕が実現したいと考えているのは、ある技術に特化したフリーランスや少人数の会社が「個」として集まって、1つの会社( 「The Company」 )として大企業に匹敵するような集団を生み出すこと。大企業と共存して面白いことを実現するやんちゃな集団が、そろそろ日本にできていいんじゃないかなって。

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--海外のフリーランスのお話が出ましたが、佐々木さんも海外での勤務経験が長いとお聞きしました。実際、日本と海外のフリーランスに違いはありますか?

佐々木氏: 僕の場合、4年半ほど海外勤務というリモート環境に置かれていました。フリーランスがどうではなく、そもそも大企業は大企業として、宿命とミッションを持っているし、雇用を生み出している側面もあります。その大企業がなにか新しいことをやろうとするときに、専門分野に特化したフリーランスや中小企業と有機的につながるっていう循環が出来上がってるのがアメリカだと思うんですよね。アジアだと、ベトナムやタイでも同じ現象が起こっています。日本の場合は、今現在、循環のシステムが上手く作用していないために、大企業とフリーランス、もしくは中小企業がつながる接点がないんです。そういった点に違和感を感じましたね。

海外フリーランスを見て感じた「働き方」の違い

--『WIRED』日本版編集長に就任して5年、「働き方」についてどう変わってきていると思いますか?

若林氏: リモートワークとかは前から言われてる話ですけど、大して効果が上がっていないって感じがあって。そもそも、組織構造がフラットに、ある種分散型になることって、インターネットが解放された時点で明確だったはずだと思うんですよね。だけど、なかなかそれがその日本の社会構造や、企業の組織構造の奥までちゃんと届いていない感じはします。

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若林: あと、フリーランスで思い出したんですけど、うち海外のカメラマンをよく使うんですよ。ニューヨークで取材をするときには、僕たちはスカイプでインタビューをして、現地のカメラマンに行ってもらいます。やっぱりよく仕事できるんですよ。日本のフリーランスって「俺はやりたいことで生きていく。」みたいなニュアンスが結構強い気がして。仕事として写真を撮ることを教わってきていない人も多いんですよね。

海外の場合、自分のポートレートの作り方から税金の納め方、営業の仕方といったことを習うそうなんですね。自分の「表現」と仕事の「要件」をどこですり合わせるか、っていうことをちゃんとやってくれます。フリーランスの地位が低いのって、社会の問題もあるけどフリーランス側の問題もあると思ったりします。その点どうですか?

榎本: ありますね。だから、「The Company」に入居したフリーランスの方をプロジェクトにアサインする場合は、「これが仕事だから。」っていうのを伝えたいです。同時に、クライアントには責任の所在が「The Company」にあることでフリーランスを起用することへの不安を少しでも軽減してあげたいですね。あと、小さい会社やフリーランスとの距離がありすぎて、通訳見たいな分かりやすい人間が間に立たないと、双方が結びつくことはないと思います。

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--その点を解消するために、「The Company」 は大企業とフリーランスや中小企業をつなぐ役割も担うと?

榎本氏: そうです。大企業がフリーランスや中小企業に仕事を発注することってちょっと怖い面もあると思います。だから、「The Company」というオフィスで仕事を受注し、オフィス内でプロジェクトチームを編成します。責任は「The Company」が取ります。僕はZero-Tenという会社を経営していて。受注するプロジェクトが大きくなると社内のリソースだけでは無理なので、色々な人やチームを都度探し回って一緒に組むことで1つ1つのプロジェクトを実現してきました。その機能をオフィス自体がやれば、今までは受発注できなかった規模の仕事に携わることができ、色々な可能性があると考えています。

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若林氏: うちも来年東京でシェアオフィスやろうかなって思ってました。シェアオフィスってどうなんですか?

榎本氏: 「The Company」はTSUTAYAみたいな感じで会員制なんですよ。今後、国内はもちろん、海外にも拠点を増やす予定です。会員であればどこのオフィスでも使っていいという仕組み。不動産的な価値ではなく、良いプロジェクトを受発注していくことに価値があるので。

若林氏: 「The Company」としては仕事をどんどん取ってくるっていう動きをしていくってことですよね。

榎本氏: そこが他のシェアオフィスの機能と異なる点じゃないですかね。
若林氏: なるほど。じゃあ、うちもそういうのにしようかな。
榎本氏: 一緒にやリましょうよ、一緒に。

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自分の仕事を因数分解してみる。あなたは何屋で何者?

海外とのフリーランスの働き方を例にディスカッションする中で、佐々木氏からの提案で、参加者の皆さまにfacebook、LINE、LinkedIn(リンクトイン)を使ったことがある方がどのくらいいるか質問をすることに。Facebook・LINEは参加者のほとんどが挙手したのに対して、LinkedInはその1割程度でした。

佐々木: LinkedInがこんなに普及していないのって日本だけなんです。LinkedInにはポートフォリオ欄があって、自分の仕事を因数分解しないと書けない構造になっているんですよ。作品や過去のプロジェクトをちゃんと細かく書ききってみてください。結構、悶絶しますよ。

日本VS海外って構図がそもそも好きじゃないんですが、「あなたは何者で何屋ですか?」ってことに、答えることができる人が極めて少ないのが日本の特徴かなと思います。例えば、海外で名刺交換をする場合、日本のサラリーマンは会社名を言うじゃないですか。海外の場合は、「僕はマーケターだよ。特にリスティングのね。この運用でこれだけの効果を出して今も維持している。」みたいな話になりますね。

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佐々木: 若林さんもおっしゃってましたけど、プロとして何が誇れて、何を世の中に出しているかっていう姿勢がちょっと違うんじゃないかなと思います。良かったら試しにLinkedInのポートフォリオ埋めてみてください。

若林: 自分の仕事を因数分解するって、結構面倒くさいですよね。僕らは編集というざっくりとした仕事なので、企画もやるけど物書きの手伝いに行くことも仕事の範疇に入ってるような仕事だったりするので。そういう仕事って結構多いんですよね。

「美意識の刷新」や「生産空間の創造」マルチロケーションの価値

次のテーマは、マルチロケーションで働くことの価値について。海外にも拠点を置くことを予定している「The Company」がマルチロケーションを推奨する理由、また、アジアのハブとも揶揄される福岡でのビジネスシーンにおける現状についてお聞きしました。

--マルチロケーションを実現することで、どういった点を変革していきたいとお考えですか?

榎本: 人って、自分のコミュニティーの中で、美意識を無意識のうちに持って育つんですよ。例えば、自分が思うかっこいい音楽とかファッションとか。ある程度自分の中で固まったとして、東京に行くとそれがちょっと崩れて。東京の中でイケてるかっこいいものになっていきますよね。だけど、ニューヨークに行くとまた別のかっこいいものになっていくように、持っていた美意識を壊して、新しく構築していくんです。

美意識を壊すのって、環境を変えないかぎり不可能だと思うんです。思い切って違う環境に飛び込んで、自分の美意識が全く通じない葛藤を繰り返すことによって、無駄が排除された美意識が出来上がっていくんじゃないかなって。特にクリエイターの場合、1つの場所で作り続けるから、色々な環境に身をおく体験をするっていうのは美意識を豊かにアップデートする1つの方法だろうと。だからこそ、マルチロケーションを実現したいと思っています。

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--福岡はアジアのハブとも揶揄されますが、実際のところ、ビジネスシーンにおいて受発注は盛んに行われていますか?

榎本: あまりないと思いますね。もし、仕事を振られたとして、その仕事をこなせる人って以外と福岡にたくさんいると思うんですよ。でも、受注のきっかけがないんです。その点を突破できるチームがいて、海外との仕事の受発注がスムーズにできるような流れができるといいですよね。

若林: 東京でも似たような問題があって。森記念財団都市戦略研究所が毎年発表している「世界の都市総合力ランキング」ってあるんですけど、東京は観光客からの評価が非常に高いんです。あと、研究者。一方、アーティストと起業家、経営者からの評価は結構低いんですよ。結局は、東京って消費空間なので。消費空間でありつつ、やっぱり生産空間でないと。この問題には、それがいかに循環してるかってことが大事な気がします。福岡の場合も、福岡でどうクリエイターに仕事を作っていくか、という点もちゃんと考えておいた方がいいですよね。

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「働き方の変革」の1つの手段として、企業×○○の仕組みを考える

榎本: 大企業の人達はベンチャーやフリーランスを上手く利用して、未開拓地をどんどん突破していけばいいっていうイメージがあって。僕は後方で支持する側より、最前線の方が人生楽しいと思ってる人なので。「The Company」にいる血気盛んな人たちが「バンコク行ってきます!」とか「台湾行ってきます!」くらいの感じで突破していって、獲得してきたものに対して報酬を与えて。上手く利用すればいいと思うし、僕らも利用されて人生どんどん楽しめばいいと思うんですよね。

若林:そうそう。日本の場合、いきなりスタートアップがゲームチャージャーになる構造は難しいなって思っていて。やっぱり大企業がちゃんと回り出すとスタートアップも回り出す気がするんですよ。お互いがお互いをちゃんと利用できるような仕組みが必要ですよね。

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佐々木: 僕はいわゆるスタートアップに入るんですけど、スタートアップの役割と大企業の役割を1回冷静になって考えてもいいんじゃないかなと思っています。スタートアップって、大企業がやっていないこと、誰もまだチャレンジしてないことにアタックしてみて、失敗してもそこからの学びを社会に循環できる人だと思うんです。それに、個人的には、大企業側も手を差し伸べる機会が増えてきていると感じます。小さいから何もできないではなくて、組み方として、いかに大企業と相互関係を築くのかを考えておくべきだと思いますね。

「働き方の変革」と「仕事の本質」、そして大事にしているもの

若林: 常に面白い仕事を人に与え続けることって本当に重要なんですよね。うちの雑誌で記事にしたんですけど、VestaxっていうDJ機器を作っているメーカーの社長さんが僕はすごく好きで。ものづくりには、当然サプライチームや部品を作る工場があって、エンドユーザーがいて。その社長は、部品を作ってくれる人達は単純な下請けじゃない、彼らを育てていくのも僕らの指名なんだ、っていう言い方をするわけなんですよ。常にある種のハードルを上げていくことでクオリティもどんどん上がるので、当然メリットもあります。

自分たちの仕事に関わる人たち全体に対して、「いかに面白くてやりがいのある仕事」を与えていくかっていうのは、恐らく仕事の本質かなって。クリエイティブも「すっげーおもしろいな!」って思ってやってくれないと、良いものなんか絶対できないじゃないですか。しかも、そこにハードルがあって、もっと上を目指せっていう人が真ん中にいて。で、面白い仕事していくと、大変でもそんなに疲弊しないんですよね。面白いっていう感情をちゃんと持ってることって大事だと思います。

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「働き方の変革」と「仕事の本質」。何を大事にするか、何を面白いと思って働くか。当たり前のことのようですが、これを機にもう1度考えてみてください。最後に、参加者の皆さまから多くの質問が投げかけられる中、熱くなれるもの、面白いと思えるものについて各ゲストに回答していただきました。

Q:皆さんが働く上で、刺激的だと思うことや面白いなって興味を持って熱くなれるものって何ですか?

榎本: 最近、舞台演出をやっているんですけど、映像制作とまた違って、パフォーマーとか音楽家とか全部混ざり合うんですよ。そして、現場でしか成功を見ることができないので。あれはテンション上がりますね。

若林: それは自分が作った舞台を見るからテンションが上がるんですか?

榎本: 本番ってお客さんが入るじゃないですか。お客さんが入った状態で映像の流したときのシーンと静まり返ったあの緊張感にテンションがあがります。始まる瞬間と終わった瞬間を共有するあの感じ。

佐々木: 僕の場合は、そもそも何で人って働かなきゃいけないんだって考えるタイプで。自社商品をお客様に提供した結果、労働時間が10%減って家族との時間や学びの時間が増えることですね。何かが大きく減ること、特に縛られているものが減ることがすごく好きで。「今回4工程くらい削減できると、1時間半くらいで1人あたり人件費減るなー。あー、これも自動化できる。最高!」って。

榎本: 全然わかんない。(笑)

若林: 僕が好きなのは、自分が作ったページの色稿が初めて出てきたときですかね。ちょっと質問と違うかもしれないけど。当時の感動って今でも覚えていて。まあ、デザインがあがってくるのを見るときですね。そのときが1番好きな瞬間ですよね。

「Special talk session vol.2」は、1月23日(月)に開催いたします。
https://www.facebook.com/events/246326002470841/